国内でコピートレードやソーシャルトレードが流行らない理由

「コピートレード」や「ソーシャルトレード」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか?

これはFX取引の達人のディールをそっくりそのまま真似をさせてもらい、利益がでたら一定金額を謝礼で支払うといった類のある意味「人任せのトレード」になります。

これが本当にトレードかという議論は当然ありますが、シストレと経て海外ではかなり流行している取引手法なのです。しかし国内ではこのやり方は全くと言っていいほど流行っていません。その理由は「金融庁による厳しい規制」にあります。

そもそもコピートレードが注目されるようになった訳とは

FXは基本的にトレーダーが自ら裁量取引をすることが前提になっています。

しかし2000年代後半になってファンド勢が積極的にアルゴリズムを利用して自動売買を行うようになってから、個人取引主体のFX市場でももはや裁量取引で売買していたのでは勝ち目がないという風潮が非常に高まることとなりました。

そのあたりから「シストレ」と言われるシステムが一定のロジックで自動売買をしてくれる仕組みに、多くの市場参加者が興味を持ち始めることになりました。

これはある意味では世界的な現象ともいえ海外では「MT4」と呼ばれる取引のシェアウエアが開発されて、多くのFX業者が広範に利用するようになったことから「EA」と呼ばれるソフトウエアをこの取引ツールにインストールすることで自動売買を行うケースも非常に増えることとなりました。

一方個人がインストストールするのではなく業者があらかじめ設定した「ストラテジー」を相場に合わせて選択し、利用するイスラエルのソフトウエア会社が開発した「ミラートレーダー」と呼ばれる仕組みも世界的に導入が進み、国内でも複数の店頭FX業者が導入することとなりました。

しかしこのシストレと呼ばれるものは、AIが実装されているわけではないので、相場の大きな変動や経済指標などの瞬間的な相場の流れの微妙な変化に自律的にすべて対応することができないのも事実でした。

ミラートレーダーはそれなりのドローダウン(含み損)を抱えることとなり、利用者が頭の中で描いたバラ色でいつでも最高の利益をたたき出してくれる理想の仕組みとはかなり異なるものであることが徐々に詳らかになり、利用者は結果的に予想以上に限定されてしまうことになります。

とくにEAのためにつくられるストラテジーは、いくつかのチャートのテクニカルツールが発する売買信号を組み合わせて取引することになるため、日足ベースの信号を利用していますと、トレンドの変化を確認するまでに時間がかかりすぎ、その間にかなり含み損を抱えるといった具体的な問題も生じるようになってしまいました。

そこで一部のFX業者やストラテジーソフトウエアの開発者が思いついたのが、あらかじめ開発されたロジックに基づいて売買するのではなく、取引の達人の売買をそのままトレースして売買するという「コピートレード」という手法にたどり着いたわけです。

市場の勝者はどうせ1割だけ~勝ち組のトレードをコピーする手法

このコピートレードの基本発想は、プログラムに依存せずに市場で勝ち残っているおよそ参加者の10%弱とみられるプロの裁量勝ち組トレーダーの取引を、そっくりそのまままねることで利益を出し、応分の謝礼をトレーダーに支払うというビジネスモデルです。

「なんだ。結局シストレではなく人の裁量取引に依存した売買手法なのか」とがっかりされる方も多いと思います。

しかし、鉄板の勝ちパターンをもって目視で売買するトレーダーのリアルな売買は妙なストラテジーを走らせて利益を確保することに奔走するよりもはるかに勝つ確率が高く、海外で非常に人気になっているのです。

特に相場で長く生き残っているトレーダーは、適切な損切で証拠金を減らさない達人ですから、ドローダウンを大きく出してしまうシストレよりも相当効率的な存在でもあるのです。

こうした特定個人の売買にすべて依存することが本当にトレードなのかということは確かに問題ですが、投資ファンドに資金をお任せして投資てしてもらうのと結果的にはあまり変わらないやり方ともいえることから海外では一定の人気を誇る投資法になっているのです。

しかし日本ではこの仕組みは全く流行っていません。それには明確な理由があります。

投資助言業資格をもたないものはEAやコピートレードを行えない

国内では金融庁がかなり厳しく売買方法を第三者に提供できる人間に制限を設けていることから、そもそもシストレすらも流行らない状況になっています。

まずMT4にて提供できるEAは無償で配布する分には商売ではないので、一応目をつぶられていますが、有償販売になった途端に投資助言業の資格を持つことが前提条件になっているのです。

市場ではもちろんこうした資格を持たないもののEAも有償販売されていますが、現実には違法ソフトということになるため、店頭FX業者が「これを利用して自動売買をしましょう」とは言うことができないのです。

早期の段階に勇んでMT4を導入したマネックス証券やYJFXはそのことにいち早く気づいたことから、MT4の利用から撤退するといった動きに出ているのです。

現在ではFXTFなどがMT4を引き続き利用した取引を行っていますが、EAはどちらかといえば自動売買よりもインジケータとして売買シグナルをツール上に表示させる程度で、自動売買もコピートレードも国内顧客に推奨することはできない状態が続いています。

国内ではみんなのシストレだけがコピートレードを可能に

このコピートレードですが、国内では「みんなのシストレ」だけがかろうじてコピートレードを顧客に提供しています。

2018年の1月からは具体的にコピーのできるトレーダーがランキングで表示されるようになっており、なんとかコピートレードができる状況になっております。

このサービスでは利用料はとっていますが、トレーダーに直接成果報酬を支払う形にはなっていません。また金融庁に配慮してなのかコピートレードという言葉は使っていないのも特徴です。

あくまでトレーダーはストラテジーなどと呼ばれています。足元では120名以上のトレーダーが登録していますので、いくつかの条件が揃えばなんとか日本国内でこうしたコピートレードが利用できる可能性は残されているといえます。

ただトレードを開示するトレーダーにとっては一般的なコピートレードとは異なり、コミッションが爆発的に増えるわけではないのでなんのために登録しているのか首をかしげるところでもあります。

また金融庁の規制をこの業者だけどういうふうにかいくぐることができたのにも非常に関心が高まるところです。

コピートレードとはだれを選ぶのかが最大のポイント

コピートレードの場合、相手を選択してもその相手がなんの通貨ペアで取引するかはまったく不明ですから、本当の運を相手に任せてトレードをお願いする形となります。

もちろん人が裁量でやっているわけですから損をすることもありますし、相場が急変すれば一時的に大きな含み損を抱えることもあるでしょうし、損切により証拠金を減らすこともありますが、それを含めてどのトレーダーに身を任せるかを決定しなくてはならなくなるのです。

投資助言業のアドバイスに合わせて株などを買って失敗するケースもありますし、ヘッジファンドに資金を預けたら全然儲からずに解約するなどというケースも世の中にはあります。

ですから、こうしたコピートレードがすべて悪いというわけではありませんが、やはり一定の選択眼を持っていないとそれでも儲からないという事態に陥るリスクがあることは事実です。

MT4のEAで連動するコピートレードはタイムラグも問題に

世界的にはMT4のEAで連動させるコピートレードというものも結構流行り始めています。

コピー先のトレーダーが売買しはじめると、その売買をそのままネットを通じてEAがデータとして受け取って売買するものですが、この手の売買の場合には問題があるのはタイムラグが生じることです。

ゆったり構えて売買するスイングトレードならば大きな問題はありませんが、スキャルピングのような売買方法をリアルタイムでトレードするのは現実的ではなく、物理的に利益を共有することが難しいという部分もある事には注意が必要となります。

また一部のEAによるコピートレードは詐欺的な要素を含んでいることも確認されていますから、すべてが健全で明るい取引法ではないこともまた事実といえます。

ただ、問題はいくらでも解消することができるものですから、これだけでコピートレードは全くリスキーで可能性を否定すべきものでもないと思います。

海外では実際に行われているソーシャルトレード

海外の業者ではすでに「ソーシャルトレード」というものも流行り始めています。

ソーシャルネットワークが発達することでツイッターなどで情報発信する優秀トレーダーの発言を受けて、売買に活かしていくといったことは最近では多くの個人投資家が行っているわけですが、さらにそれを一歩進めてソーシャルトレードという形で売買する方法も海外中心に多くなってきています。

これはソーシャルトレードサービスを提供している業者にまず登録し、売買取引をコピーしたいトレーダーをランキングや取引実績から確認してフォローするだけであとは自動的にコピートレードを開始することができるのです。

基本は1万通貨での売買ということになるところが殆どですが、業者の手数料は無料のところが圧倒的多数となっています。

トレーダーが取引情報を積極的に公開するのは、フォロワー数が増えて取引量も増加するとそれに応じた報酬が支払われることになるからで、自分がトレードして儲けた以上にそれに相乗りしたフォロワートレーダーから応分の利益をいただくことが可能になるのです。

業者と組んだ悪質なトレーダーがいて、やらせのように取引を失敗して取引金額を故意に失わせるのではないかという心配を持つ方も多いと思いますが、この仕組みはかなり透明性が高く、そうした犯罪は起こっていないのが現状です。

今後AIを実装したアルゴリズムが市場を席捲することになれば、人ではなくAIをフォローして売買するといったことも登場しそうな雰囲気で、実はソーシャルトレードにはかなり将来性が感じられるものとなっているのが現状です。

具体的投資行為を顧客に提供して利益を得る手法は国内では不認可

ここでご紹介したソーシャルトレードのような仕組みは国内ではまったく広まっておらず、海外でも日本語対応しているサイトが少ないことからほとんど話題にはなっていませんが、今後のFX取引を考えますとこうした方向性あに進んでいく可能性はきわめて高くなりそうです。

しかし国内では金融庁の存在がFXのあらゆる可能性を阻害しつつあり、世界で最も多くのトレーダーを抱える日本のFX市場なのに先進的な取引形態からは大きく後れをとっていることがわかります。

こうなると結局税制上の問題や資金の入出金などの問題があっても海外業者を利用せざるを得なくなる状況で、結局のところ金融庁の規制自体が日本の投資家を海外のFX業者利用に仕向けている大きな理由になっているともいえるのです。

いまやネットの発達で個人トレーダーといえども、インターバンクディーラーと同じぐらい早く市場の情報を得ることができるようになってきています。

個人投資家間での情報のやり取りやベストプラクティスを提供できるトレーダーのトレード情報を共有し、トレースできるようになればFXトレード自体も大きく変化することを期待することができます。

そういう意味ではコピートレードも規制すべきところはしっかり規制することで安全な形で標準化を進めていくことができれば、もっと国内でもうまく利用していくことができる形になるものと思われます。

巷では仮想通貨取引のほうに個人投資家の関心が移りつつあります。

しかし、国内の仮想通貨取引所をの実態を見ますと、FXよりもはるかにリスクが高く、しかも市場参入者がほぼ100%投機対象のトレーダーだけですから、その価格の動きも非常に特異な世界です。

しかも黎明期に二束三文で仮想通貨を獲得した大口保有者の意図的な売買で相場がかなり振らされるという相当不可思議な相場をみるにつけ、FXという公明正大な市場でソーシャルトレードを認めて売買していくほうがどれだけ安全でリーズナブルなものであるかということを改めて感じさせられます。

もちろんリスクのまったくない相場など世の中には存在しませんから一定のリスクヘッジや制限が必要になることは間違いありませんが、コピートレードという手法についてはもっと国内市場でも利用できるような仕組みに精度を上げていくことが必要なのではないでしょうか。

 

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