海外FX業者を利用するにあたり、最も重要なのは「出金手続き」にあることは、これまで複数の記事の中でご紹介してきました。
XMは、数ある海外FX業者の中でも特に出金手続きがスムーズで迅速、安心して利用できることが既に知られています。
しかし一般的な情報として、出金手続きに関するきまりの細かい部分は、不定期にそしてけっこう頻繁に変更になるものです。例えば銀行送金でも、以前は可能だった銀行があるときから利用できなくなったりなどします。
普段から最新情報をチェックし、できれば複数の手段を確保しておけると安心です。
今回は、XMで出金に利用できるオンライン入出金サービス(XMの言葉でいうE-wallet)のうち「i-Account」について、特徴や利便性を詳しく調べてみたいと思います。
■目次
i-Accountとは?i-Accountの特徴
XM取引口座からの出金に利用できる
I-Accountは、XMからの出金の選択肢として2017年12月頃に採用されたサービスです。
XMで取引で得た利益分の出金に「海外送金」を利用すると、数千円の送金手数料がかかり、着金までも3日以上かかるデメリットをカバーする方法として、このようなオンライン入出金サービスが採用されたと言われています。
なお過去には「XMカード」や「ネッテラー」がありましたが、便利なプリペイドカードサービスの存在が脱税の温床になる可能性を問題視されて、利用停止になってしまっています。
ちなみに、XMとi-Accountが連携しているのは出金サービスのみであり、XM取引口座への入金にi-Accountを使うことはできません。
i-Accountは、ネッテラーに似たサービス
「i-Account」はオンライン入出金サービスのひとつで、ホームページの情報によると、フィリピンと香港でライセンスを取得しており、両国に事業所もある金融サービス業者です。
サービス内容は、「ネッテラー」に似ています。ネッテラーは、評判がよく便利なサービスで人気があったのですが、日本人向けサービス全体を利用停止してしまったことで、XMでも使えなくなっています。i-Accountはその代わりの方法として採用された意味合いも強いようです。
ただし、このあとにご紹介するとおり、ネッテラーと同じサービスを期待できるわけではありません。特にネッテラーユーザーだった方は十分にご注意ください。
XMカードのようなサービス(i-Card)もあるが、注意点が複数あり
i-Accountには、i-Cardというプリペイドカードも利用できます。i-Account口座の残高からプリペイドカードに出金(チャージ)すれば、クレジットカード同様にショッピングなどの支払いに利用できるようです。
しかし日本国内のATMでの現金引き出しに関しては、あいにく「可能」との明確な情報はありませんでした。ちなみにこのカードの通貨は、USDかEURのみで日本円は選べません。
i-Accountホームページにはこのプリペイドカードの使い方として「世界中のATMから現地通貨を引き出すことができます」と書かれてはいるのですが、日本国内のすべてのATMが本当に対応しているかどうかは、定かではありません。
日本国内のATMはセキュリティが高いため、海外で発行されたi-Accountのプリペイドカードでは、現金引き出しができない可能性が高いように思います。
なお、海外発行MasterCardが「みずほ銀行」の専用ATMで日本円での現金引き出しに対応しているとの情報はあります。しかし「専用ATM」は少ないでしょうから利便性が高いとは言えないですね。
参考情報:海外発行カード専用ATMのご利用時間(みずほ銀行)
海外旅行の航空券を買ったりホテル代を支払ったりなど、ショッピング利用分としてまとまった金額を使う予定があるときだけ出金する使い方にするなら、便利でしょうか。
i-Accountの口座には、クレジットカード入金はできない
XMの入金には使えないので直接XMとは関係ありませんが、ネッテラーのようにi-Accountを「オンライン入出金サービス」として他でも活用することを考えたとき、残念なのはクレジットカードでの入金ができないこと。
後日サービス提供予定ではあるようですが、現在はできませんので要注意です。
海外送金手数料トータルがお得なのかも微妙
i-Accountのサポート窓口とFAQは、「Liri Business Development」社によって運営されています。それによるとi-Account口座から銀行口座への送金手数料は「5.00~25.00/件」とのたいへん大雑把な説明のみです。
どこの国の通貨かさえ表示がありません。まあ、USDかEURだと予想できますが、これではXMから直接海外送金で出金した方が安心確実な気がしますね・・・。
実際に、利用したことがある日本人からの情報がない、i-Accountのホームページの説明は日本語で書かれてはいますが漠然としていて幅が広すぎる、説明が足りなくて肝心のところが分からない、などの理由で、本当に利便性の高いカードであるかどうかは、まだよく分からないのが現状と言えます。
同様のサービスにmybitwalletがある
なお、XMで出金に利用できるオンライン入出金サービスには、もうひとつ「mybitwallet」があります。こちらはシンガポールのライセンスがある業者です。
XMの取引口座へ資金入金する際の、国内入金先銀行口座ともなっている「イープロテクションズ」が運営する会社です。i-Accountとの大きな違いは、プリペイドカードがないことです。
XMカードやネッテラーカードは、利益分の出金金額が日本の金融庁や国税庁で把握できない点が問題視されて利用停止となってしまいました。
「mybitwallet」カードサービスがないことは逆に、この点の心配はいらないことになります。mybitwalletについては、下記の記事で詳しく紹介していますので、ぜひそちらも合わせて読んでみてください。
便利なサービスかもしれないが、慎重に使用すべき
とにかく、情報が少ないのが不安
現在はサービス停止となってしまったXMカードやネッテラー。利用者にとってはたいへん便利であったことから、利用方法を解説するサイトが多くありました。現在もかなりのサイトがそのまま残っています。
それに比べて「i-Account」は、実際利用したことがある方からの情報が、なぜか圧倒的に少ないです。
海外の会社に、大切なお金を一時的にでも預けることになるのですから、まずは日本人に評判がよいサービスであるかどうかは、たいへん重要なポイントですよね。情報が少ないことはちょっと不安です。
ネット上でよい評判を聞かない Liri ホールディングスの関連会社
i-Accountは、Liri holdings Limitedのパートナー会社、となっており、サポート窓口は、Liri Business Developmentによって運営されています。
ここまでは海外業者としては特に問題ないように思うのですが、このグループ会社の旧社名らしい「リディアリッチLidyarich (www.lidyarich.com)」のキーワードからたどり着いて、心配になる記事を目にしました。
2016年7月、海外の業者を利用してFXに投資をしていた日本人約80人が、合計80億円の詐欺被害に遭ったニュースがヒット。
どうやら被害に遭った多くの方々の資金は、i-Accountに入金されていたそうなのです。
よく読むと、i-Account自体が詐欺なのではなく、詐欺業者が投資の資金の入金手段として「i-Account」を指定して利用させている、ということのようです。
しかしこのことについて、「i-Accountが詐欺グループに加担している」「詐欺グループの一味なのではないか」と見ている方も大勢います。
興味がある方は「ベルーガアジア」のキーワードで検索してみてください。この詐欺業者の自動売買EAによって、多額の資金を失う被害に遭った方々の生々しい体験談のブログがヒットします。
一度読んでみると、投資家として身が引き締まる思いがして、新たな気持ちで取引に向かえるようになるとも思います。なお、この詐欺事件の犯人はまだ捕まっていないそうで、借金に苦しんでいる日本人投資家は現在もいます。
ネッテラーと同じように使用停止の可能性が常にある
結局i-Accountと詐欺事件の関連性はグレーなままです。日本人投資家にこれほど評判のよいXMが、犯罪に加担するような会社のサービスを採用するとは考えにくいと思いますが。
i-Accountには日本国内でかなりの不信感が渦巻いていることは事実です。プリペイドカードサービスも、日本の金融庁としていつXMカードやネッテラーカードのような調査が入るか分かりません。
これまでFX業者選びの視点では注意深く見てきた「信託保全が適切か」「金融業者として問題がないか」について、何とも言えないのが正直なところです。
社名なのか運営会社なのかコロコロ変わっているらしい点、変わった理由も知ってしまうと信頼できる業者とは言えないなあと、個人的には思います。
万一この先「日本人向けのサービス利用停止」となったとき、いきなり口座凍結や出金拒否はさすがにないとは思いますが、少なくとも、大金を口座に長い期間放置したままには、しないほうがよいことだけは確実のようですね。
ただでさえ難しいFX。心配事は増やしたくないわよね・・。
まとめ
「i-Account」が悪いわけではないのかもしれませんが、今回改めて海外FXは、いまだに詐欺業者の存在と隣り合わせである現実を身近に感じられたと思います。
各個人の調査能力によって可能/不可能の限界はありますが、業者同士のつながりは一通り調べるなど、常に警戒してかかる姿勢を忘れてはいけないと思いました。
昨今、悪い評判はすぐにネット上に拡散しますが、名前を変えてしまえば検索してもヒットしづらくなるのも事実です。
FX取引のポジションのことを考えるだけでも忙しいのに、業者のスキャンダルに煩わされたり、実際に自分が被害に遭ったりするようなことは避けたいものですね。
i-Accountについては、ご自身でもしっかりと調べてリスクについて考え、自己責任で利用することをおすすめしたいと思います。